古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

#036 一つ目坊

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一つ目坊

 ネーミング的には「目一つ坊」とほぼ同類であるが、その成り立ちに大きな違いがあるので描くことにした。姿も全く別物だ。

 どんな妖怪かは謎である。

 取り付く島もないが謎である。

 最近はネットでもマナーがとやかくいわれています。趣味の世界でも、好き放題に発信してはいけません。エログロナンセンスという言葉がすでにナンセンスなんです。

    …だからもう謎にしてしまおうかと。

 あちらの方面はもとよりアヤしい世界だし、実はこの手の妖怪画は非常に多く一冊の本になるくらいだ(既になってる)。

   妖怪を隠れ蓑に、「言ってはいけないやってはいけない」を視覚化する動きは江戸に花開き今もなお盛んである。意味がわかれば「その形のそのまんまが描かれた妖怪」ともいえる。この種の中では一番抽象化が進み、洗練され、イヤらしさの無いデザインになっていると思うが。

 妖怪は永遠の二次創作。永遠の同人誌。ひとの欲望の集合地帯でもある。そのうちきちんとした解説を書くかもしれないが今はまだ秘密、もとい謎である。

   アンダーグラウンドは、本質的に表舞台になることは永遠に無い。しかし人類がいる限り、滅ぶこともまた、永遠にない。

    だから私は、此処に棲むことに決めたのだ。

 図:尾田郷澄作『百鬼夜行絵巻』より