古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2024-01-01から1年間の記事一覧

135 #五徳猫

鳥山石燕の百鬼徒然袋に描かれる。五徳(ガスコンロの鍋を乗せるあの部分)を角のように頭に乗せ、火吹き竹を持って囲炉裏の火を起こす化け猫(ただし、言われないと猫には見えない)。解説は「七徳の舞を二つ忘れて「五徳の官者」と呼ばれた話(徒然草の信濃前…

134 #舞い首

神奈川は舞鶴の伝承。Wikipediaによると、鎌倉時代、小三太、又重、悪五郎という3人の武士が祭の日、酒の勢いで口論となり、刀の斬り合いとなり、お互いに頸をはねあい、海に落ちた。以来この海では3人の首が食い争い、夜には火炎を吹き、昼には海上に巴模様…

133 #於菊虫

有名な国民の怪談、「番町皿屋敷」のスピンオフのような妖怪。 実在する、ジャコウアゲハの蛹がそうである、と言われている。 日本中に伝わる「お菊伝説」。家宝の皿を割ってしまった女中のお菊は、手打ちにあって屋敷の井戸に投げ込まれる。全国に似た話が…

132 #高女

鳥山石燕の画図百鬼夜行シリーズに姿がある妖怪。これといった解説もなく、結び付くような伝承も少ない。遊廓に関する寓意画であるとする分析もあるが、この説を採ると沢山の妖怪が遊廓に絡んでいて、フロイトじゃないんだから、と正直思う。戦後には、何名…

131 #垢舐め

江戸時代元禄期辺りから描かれたり語られたりしたらしい妖怪。姿に多少の違いはあるが、風呂場に現れ、垢を舐めて食べる。 率直に言って、気持ち悪い。 江戸の町は享保期には百万人規模だった。公衆衛生は不十分で、大通りは下水の匂いが酷かった、なんて話…

130 #死神

桃仙人夜話「絵本百物語」に紹介される怪。 死んだ者の悪念が死んだ場所などに留まり、生者を引っ張り、同じような死に方をさせる。 つまり現在でもよくある怪談の先駆け的な存在。縊鬼や七人ミサキと同類の怪異だ。 「絵本百物語」の挿絵では、軒の下に人を…

129 #川獺 かわうそ

子供の姿に化けて、酒を買いに来る妖怪。 今なら即NGである。現在は、逆に、子供が大人のふりをして酒を買いに来る時代だ。 舌が短く、言葉は上手に話せない。 「俺だ」と言えずに「あわや」とか「うわや」と言う。「どこから来た」と聞かれると、「かわい」…

128 #蛇骨婆

鳥山石燕が紹介していることで知られる妖怪の一つ。解説に「中国大陸の一地方に、右の手に青蛇、左の手に赤蛇を持つ人が居ると言うが、蛇骨婆はこの国の人だろうか。或いは、蛇塚の蛇五右衛門(じゃごえもん)と云う者の妻で、人呼んで「蛇五婆(じゃごばあ…

127 #鍋島猫、または#グリマルキン

猫はどこにでも入り込む。そして、最初からそこが、自分の居場所であったかのように振る舞う。物語の中にあってもだ。 江戸時代成立期。 佐賀の国では龍造寺家が衰えていた。元家臣の鍋島家、隣国の有馬家の方が幕府からの信任も厚く、龍造寺家は名目上の藩…