古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2023-01-01から1年間の記事一覧

126 #天狗

存在が大きすぎて、説明し尽くすには一冊以上の本がいる、鬼と並ぶ日本の?妖怪の最古残。ルーツをたどると中国まで行ってしまうかもしれないが、詳しくはない。 鬼が人にまつわる怪異の総称で、天狗は自然界のそれ、と理解していた時もあったが、そう簡単に…

125 #二口女 #食わず女房

後頭部にも大きな口がある女性の怪。中でも「食わず女房」は山姥の類とされる。山姥すべてに後頭部の口があるわけではないから「二口山姥」とか言いそうなものだが、私は知らない。「女房」と言うくらいだから山姥なのに比較的若い(と言っても年増くらい?)…

124 #姦姦蛇螺 かんかんだら

姦姦蛇螺(かんかんだら)は女性の化物で、腕は6本、下半身は大蛇である。森に封印されていて、人が迷い込むのを窺っている。6本の木を、6本のしめ縄で括った六角形の空間が、彼女のテリトリーだ。空間の中心に箱が置かれ、中に壺と、楊枝のような棒が並べて…

123 #おりたたみ入道

水木しげる氏が、漫画「ゲゲゲの鬼太郎」に登場させた妖怪。氏の創作であると言われている。しかし実際、誰かの創作ではない妖怪は少ない。下手をしたら全ての妖怪は人に名付けられた時から誕生した、と言う点では、創作と言える。ライオン等のように、人が…

122 #飛縁魔 八百屋お七乃場合

八百屋お七は実在の女性である。 江戸本郷の八百屋の娘。恋心を抱いた相手との再会を夢見て、放火事件を起こし火刑に処されたとか。後に井原西鶴の『好色五人女』の作中で紹介され、有名になった。 「飛縁魔」は仏教用語、女の色香で身を滅ぼす愚かさを諭す…

121 #木魚達磨

達磨のようななりの、木魚の姿で描かれている妖怪。初めて絵にした(紹介した)のは、おそらく鳥山石燕。彼の解説によると、仏具の妖怪であるとのこと。 木魚とは、魚の目は開いたままであることから、修行僧への不眠不休を説くものとされ、いっぽう達磨=達磨…

120 #滝夜叉姫

妖怪ではなく妖術使い。 ウィキペディアを要約すると、 江戸時代の読本(山東京伝)に登場する。福島県に墓碑があり『滝夜叉姫が将門の死後に再興を図ったが失敗し出家した』とある。 平安時代、父将門が討たれ、生き残った五月姫は丑の刻参りを繰り返すように…

119 #清姫、または蛇身

白河より熊野に参詣に来た僧は大変な美形であった。名を安珍という。豪族の娘、清姫は宿を乞いに来た安珍に一目惚れし、その晩誘惑する。困惑した安珍は、「必ず帰りには立ち寄る」と嘘を伝えて去った。 嘘に気付いた清姫は安珍を追う。安珍は神仏に助けを求…

118 #朱の盆

会津若松に伝わる妖怪。 いくつかの話が残るが、共通点は真っ赤な顔をした鬼。という所か。 戊辰戦争。会津若松では、まさに血戦が行われ、沢山の血が流れたと聞かされた。家臣の家族の自決、日新館、白虎隊、覆水盆に帰らず。 今や観光地となった鶴ケ城、家…

117 #以津真天 いつまで

1334年、建武の親政が始まった年、疫病が広く興った。政治的な混乱の中、遺体は長く放置された。すると「いつまでも、いつまでも…」と鳴く怪鳥が現れた。これを射落とすと、顔は人のようで曲がった嘴には鋸のような歯が並び、体は蛇体、で、両足の爪は剣のよ…

116 #チクリ

昭和時代の「妖怪尽くし絵巻」に描かれた妖怪。芸者の首にサソリの体を持つ。作者の解説はないが、非常に寓意性に富んだデザインである。 全然関係は無いが、「さそり座の女」と言う歌があった。女性の、惚れた男に対する執念のような感情を歌にしたものだが…

115 #朧車

昔、賀茂の大路を、朧月夜に車の軋る音を立てるものが居た。出て見てみると異形のモノだった。車争いの遺恨であろうか。とは、これを最初に絵にしたと思われる鳥山石燕の言葉。 受験シーズンも大詰めである。 学生は名門の席を取り合っている。ある桜は咲き…