古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

124 #姦姦蛇螺 かんかんだら

姦姦蛇螺(かんかんだら)は女性の化物で、腕は6本、下半身は大蛇である。森に封印されていて、人が迷い込むのを窺っている。
6本の木を、6本のしめ縄で括った六角形の空間が、彼女のテリトリーだ。空間の中心に箱が置かれ、中に壺と、楊枝のような棒が並べてある。この棒をうっかり触って、形を崩してしまったら、姦姦蛇螺が現れる…。

ネット怪談である。
数ある同種の話の中でも群を抜いてディテールが作り込まれている。あらすじは以下に紹介するが、ぜひオリジナルにも当たっていただきたい。
基本的には大体は忠実に描いた。

 正体は「大蛇と巫女」で、前述の棒を動かしてしまうと祟られるが、下半身を見なければ助かることもある。姦姦蛇螺は「棒を動かす」「全身を見る」の2つの条件が揃うと襲ってくる。実は「巫女」と「姦姦蛇螺」がおり、二人は同一の身体を共有するが別々の存在であり、「巫女」として現れた時には助かるかもしれない。

誕生に関わる嫌な話がある。大蛇が人を襲う村があり、巫女が一人退治に向かうが下半身を大蛇に呑まれる。すると村人たちは、何と「その巫女は喰わせるから村を襲うな」と、あんまりな提案をし、巫女の腕を切り落とし、そのまま呑み込ませる。この作戦は巫女の家の者がはなから画策していた。あんまりにも程がある。
大蛇は姿を消し、平穏を取り戻したはずの村は次々と人が死んでいく。巫女の家の者も6人死に、みな方腕がなくなっていたという。村全体でも18人くらい死んだようで、コレでは大蛇の被害が祟りに変わっただけである。生き残った村人はわずか4人であった。
もうどうしようもない。
人間のたたりが一番怖い。

話のあちこちに、実は答えが準備されてそうな、不明確な部分が配置されていて、良いマグガフィンになっており、大勢が解釈を楽しんでいる。

私もまた、その一人だ。
この絵にも幾つかの解釈を加えている。
下半身を、引いては蛇との「接合部分」を見られると逆鱗に触れるらしい。
ので、袴でくるんで注連縄で締めておいた。

何て書いていたら、ネットのイラストの中にも同じ発想の方が居た。私は自分が思うほど、発想が豊かではないらしい…。
中がどうなっているのか、の考えも同じなのか?話でみたい気もする。

とはいえ、事件の真相を知っているのは、姦姦蛇螺当人だけである。

個人的には、跡継ぎではないのに強力な力を持ってしまった巫女が、お家騒動に巻き込まれるなか、半ば必然的に、途中からは自らの意思で積極的に、妖怪へと進化してしまったような…モノに思える。だから、大蛇の方が彼女に喰われているのだ。

 

バイオハザード(ゲームじゃなくて)のマークは六本腕だから、描き込んだ。

彼岸花は、1つの茎に花が六つ、花には花弁と雄しべが六つずつ付いている物が多い。描かずにはいられなかった。