古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

136 #風の神

桃仙人夜話「絵本百物語」によると、
風に乗って彷徨い、人を見れば口から黄色い風を吹き掛け、流行り風邪に罹患させるそうである。また天地の間の気を「風」と言い、万物の滞りを促す自然の道具と定義する。
そして、俗に「風の神」というものは邪気で、ものの隙間を窺って入り込む。貧乏神は油断の隙を窺うが、風の神は暖かさと寒さの隙間を狙う。口から吹き出す気の黄色は、土を現し、湿気である。風はみな土中べきより生ずる。とある。
どうあっても新型ウイルスを連想してしまう。ものの隙間どころか、油断の隙間、我慢の隙間、マスクの隙間から入り込み、息に当たった者にはおしなべてひどい風邪を引き起こした。黄色い土、黄砂の国から遣ってきたとか来ないとか。普通のウイルスは水分に弱いとされていたが、梅雨でも夏でも一年中、吹き荒れた。
妖怪は、その姿を見顕すと封じ込めることが出来ると言う。お城の倉庫に有名な画家の妖怪絵巻が有ったりするのもその思想に基づくとか(あやふやだが聞いた気がする)であったならば、あの時期我々が描くべきは、アマビエなんかではなく、この風の神だったのではあるまいか。
と、考えなくもなかったのだが、あの時期にこんなの描いたらどう曲解されるか判らなかったから、今になってしまった。風評被害が怖いもので。