有名な国民の怪談、「番町皿屋敷」のスピンオフのような妖怪。
実在する、ジャコウアゲハの蛹がそうである、と言われている。
日本中に伝わる「お菊伝説」。家宝の皿を割ってしまった女中のお菊は、手打ちにあって屋敷の井戸に投げ込まれる。全国に似た話があり、ここに至るまでは色々なバリエーションがあるが、井戸に投げ込まれる所で話が揃う。
後は井戸からお菊の霊が出現し、皿を数えては泣き崩れる、と言う有名な場面が毎晩の如くに繰り返される。
お菊伝説は、江戸の番町皿屋敷、姫路の播州皿屋敷を筆頭に、Wikipediaによると、(以下引用)…北は岩手県滝沢市や江刺市、南は鹿児島県南さつま市まで…そのほか、群馬県甘楽郡の2町1村、滋賀県彦根市、島根県松江市、兵庫県尼崎市、高知県幡多郡の2町1村、福岡県嘉麻市、宮城県亘理郡、長崎県五島列島の福江島などに伝わっている。
割れ残った皿の数(17件×9枚=153枚)で15名ほどのお菊さんが成仏できる計算だ。
既に「お菊」は固有名詞ではなく、妖怪としての普通名詞になっている。鳥山石燕は、それを意識したのか、この怪異をまとめて「皿数え」と呼んでいる。
さて、お菊虫の話である。
尼崎や姫路のお菊さんの話に登場し、人が縄で縛られたような奇怪な姿をしているが、ジャコウアゲハに限らず、蝶の蛹はだいたいそんな姿をしている。このお菊虫が、お菊の遺骸が放り込まれた井戸に、たくさん貼り付いていたと言う。
ヘイケガニと似たところがある。
ジャコウアゲハの蛹は、写真で見てもなかなか迫力のあるものだ。縛られた人の姿と言うよりは、幽霊そのものに見え、伝説になりそうな色と形をしている。しかも纏まった数で群れてサナギになるので、見つけてしまったら声くらい出てしまうかもしれない。
姫路城ではかつて、蝶のサナギ(ジャコウアゲハに限らなかったらしい)の干物を「お菊虫」として土産に売っていたらしい。妖怪すらもお土産に。関西人の商魂は凄まじい。
欠けた月は割れた皿の隠喩。
皿の絵は適当に描いてしまった。
ジャコウアゲハに寄せて描いているのは、お分かり頂けると思う。