古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2020-05-10から1日間の記事一覧

#080 とうびょう

とうびょう 湯本豪一蔵『化物尽くし』と言っても、前回までの物とは別の巻物だ。『化物尽くし』登場する妖怪は日本古来の妖怪絵巻を踏襲しているものの、その作風は今迄にあったものとは異なり柔らかいタッチになっているのが特徴だ。 とうびょう、とは中国…

#079 波蛇 なみじゃ

波蛇 うねる波がまるで蛇のように見えるさまを妖怪と見たものか。確かに海の波、川の流れ、焚き火の炎と煙など、延々と繰り広げられるその変化をいつまでも見続けていたくなるもが世の中にはある。特に船に乗って見る波は、船が作り出す波と本来の波とが混ざ…

#078 蟹鬼 かにおに

蟹鬼 ここまでの妖怪達とは逆に、いくらでも解説がつけられそうなのがこの蟹鬼である。蟹の鬼なのだから妖怪で間違いない。 蟹の妖怪話で有名なのは「なぞなぞを出す妖怪」の話だ。無人の荒れ寺に泊った旅の僧の前に夜中、巨大な僧が姿を現してなぞなぞを出…

#077 飛代路理 びよろり

飛代路理 またまた説明のつけにくい妖怪が現れた。ただただ蛇である。ちょっときれいな色をした蛇が波打つような姿で描かれている。蛇は確かに「人が本能的に嫌う生き物」と言う説が出たり聖書では人間の欠点を神の前にさらけ出させる役割を担う悪役であり「…

#076 充面 じゅうめん

充面 もしこれが「渋面」なら、渋い顔した妖怪として「江戸の渋い顔事情」を調べ怪説とするのだが漢字は「充面」だ。「充」の字は「ふくよかな人を表す文字。おなかが大きい人が立っている姿だ。体力も気力も満ちているため、「満ちる」「あてる」「ふさぐ」…