古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

112 #三大怪談

前から三大怪談を絵にしようと思っていた。
一枚ずつ描こうかと思って居たのだが、思いつきでまとめてしまった。

・お岩さん。有名すぎるアイコン、「提灯お岩」を自分風にデザインした。江戸時代、鶴屋南北の歌舞伎や三遊亭圓朝の落語「東海道四谷怪談」で有名になった。
・お菊さん。ジャコウアゲハのサナギを於菊虫と呼ぶ。家宝の皿を割ってしまい、後ろ手に縛られたお菊さんの姿に似ているからだそうだ。確かに実物は人に見えなくもないが、かなり派手で不気味な形をしている。お菊さんは江戸時代に全国に広まった伝説だ。日本全国に、伝説と共に割れた皿の残りが保管されている。その後多くの芝居や怪談の題材となった。日本人の誰もが知るような有名な脚本は無いと思う(代表的なタイトルは存在するが)。あくまで伝説有りきの怪異である。
・累。描かれた手はどちらも右手。累と助の姉弟の手である。芭蕉の弟子、曽良の句に「かさねとは八重撫子の名成べし」というのがあるので、描いた。元々は怪談とは関係の無い句のようだ。怪談の累は、江戸時代に流布した「累が淵」の説話を、明治期の落語家・三遊亭圓朝が怪談噺に仕立て、有名になった。

以上、三者三様、幽霊と云えども立派に妖怪としての性格を持っている。他の題材も機会があれば描いてみたい。