古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2020-05-01から1日間の記事一覧

#067 土ぐも

土ぐも 大昔は朝廷に従わない一族の、古文書上での呼び名であった。妖怪としての「土蜘蛛」は鎌倉以降の様々な絵巻物ないし書物に様々な姿で伝えられている上、どの物語をとっても簡単に退治されないという強力妖怪の筆頭だ。古来の伝説もあるのだろうが、創…

#066 なきびす

なきびす 祠なども建っていて信仰の対象にもなっている妖怪神とでも言うべき存在。なきびす、とは泣き虫の意味。正式名は「泣きえびす」だが、地元の人はなきびす様と呼ぶ。 伝説もある。長崎は佐世保の話である。 広田城が攻められいざ落城という時、城兵の…

#065 ぬりかべ

ぬりかべ 海外の博物館にある日本の妖怪図鑑のなかに「ぬりかべ」と言う名前が発見され、少し前に話題になった。 おそらく通行人の目の前に、そんな所には無い筈の壁のようなものが急に立ちはだかる怪異だったと思われる。壁は見える場合も見えない場合もあ…

#064 海男

海男 本当の絵では全身のほとんど海に浸かっていて、実際に描かれているのは頭と背中だけ。だから隠れている部分を大幅に描き足した。よって全く違う絵になってしまっている。海坊主と同スケールで描かれていたが、それではどっちがどっちかわからないのでス…

#063 海坊主

海坊主 「化物之繪」という変わり種の妖怪絵巻がある。この絵巻物は現在日本にはない。海外の美術館の所蔵品なのだ。内容としては「百怪図鑑」図鑑の妖怪がほとんど同じ姿で(しかもとても美しい腕前で)描かれているのだが、数体ほど、出展の違う妖怪画が追…

#038 大化 おっか

大化 これも尾田郷澄の『百鬼夜行絵巻』では名無しであるが、いろんな時代の様々な妖怪絵巻に同様の、または亜種ともいえる姿で描かれ続けている。伝承とは全く無縁の永遠のバイプレーヤーのような妖怪。「化物絵巻」でほぼ同じ姿で描かれたものに「大化 お…

#057 はじっかき

はじっかき 尾田郷澄作『百鬼夜行絵巻』では名前を与えられていない妖怪で、絵だけが乗っている。作者が名前を書き落としたとは考えにくいから、この絵巻物は「今迄に名前または姿が残されている妖怪を描きとめようとした」ものだったかとも思う。他の妖怪絵…

#062 狸の腹鼓

狸の腹鼓 「はらづつみ」ではない。「はらつづみ」である。間違うと料理名のようだ。 人気のない山中、夜の街中で太鼓の音やお囃子が聞こえる。狸囃子ともいう。もちろんいくら探しても何もない。特に太鼓の音は狸が膨らませたおなかをたたいているのだと言…