古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

#064 海男

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海男

 本当の絵では全身のほとんど海に浸かっていて、実際に描かれているのは頭と背中だけ。だから隠れている部分を大幅に描き足した。よって全く違う絵になってしまっている。海坊主と同スケールで描かれていたが、それではどっちがどっちかわからないのでスケールも縮めた。

 一般的な伝説には、「うみおとこ」の話はない。鱗がある怪物の話であれば、江戸の末期にはいくらかあった。アザラシを妖怪だと言ってたてまつった話もある。「鱗がある男性」だから、今の感覚でいうと「半魚人」と言ったところか。それとも水面下に潜む「海賊」を妖怪に見立てたものか。

 「海男」だから「海の男」という安易な発想で周りの小道具は描き足した。

 図:ブリガム・ヤング大学付属ハルド・B・リー図書館蔵「化物之繪」より。