本当の絵では全身のほとんど海に浸かっていて、実際に描かれているのは頭と背中だけ。だから隠れている部分を大幅に描き足した。よって全く違う絵になってしまっている。海坊主と同スケールで描かれていたが、それではどっちがどっちかわからないのでスケールも縮めた。
一般的な伝説には、「うみおとこ」の話はない。鱗がある怪物の話であれば、江戸の末期にはいくらかあった。アザラシを妖怪だと言ってたてまつった話もある。「鱗がある男性」だから、今の感覚でいうと「半魚人」と言ったところか。それとも水面下に潜む「海賊」を妖怪に見立てたものか。
「海男」だから「海の男」という安易な発想で周りの小道具は描き足した。
図:ブリガム・ヤング大学付属ハルド・B・リー図書館蔵「化物之繪」より。