古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2020-05-09から1日間の記事一覧

#075 滅法貝 めっぽうかい

滅法貝 大きく描かれた二枚貝と思しき姿の妖怪。貝なのにネズミのようなひげや、蝙蝠のような羽や小さな目、本当はネズミのしっぱも生えている。今回は絵にする際、貝の性格を前に出すためにネズミっぽい尻尾を割愛し、代わりに貝の脚と水管を描き足し、鳥山…

#074 真平 まっぴら

真平 ふんどし一枚でまばらな無精ひげ、ネズミのようないかにも力のなさそうな妖怪が、地面にりつくようにひれ伏したまま、上目遣いに辺りを窺って居る姿で描かれている。先ほどの「有夜宇屋志」よりもさらに腰が低い。ただもう世の中が怖くて怖くて、他者と…

#073 狐火

狐火 狐が見せるという怪火。火の玉、人魂全般を指すことも多い。だからこの妖怪だけはこの絵巻物の中では唯一存在するものである。実際は狐は描かれず、青白い火の玉のみが三つ描かれる。ちなみに怪現象の際に出現する青白い火の玉は「陰火」と言って、熱く…

#072 有夜宇屋志 うやうやし

有夜宇屋志 頭を体の中にめり込ませるように、低く低く下げた姿で描かれた、乾いた馬糞のような妖怪。「うやうやし」の名前にふさわしい姿ではある。しかし名前の漢字「有夜宇屋志」何も全部違う字にしなくてもいいのに。 「慇懃無礼」という言葉があるよう…