古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2020-04-23から1日間の記事一覧

#040 五体面

五体面 顔から手足が生えた姿で描かれた妖怪。「面」から「五体」が生えているから「五体面」と言うのだろうか。でも頭がないから四体面なのではないのか。 「〇〇に手足が生えたような」という言い方がある。一つの物事に一辺倒な性質を意地悪く言った言い…

#047 覘坊 のぞきぼう

覘坊 先の投稿で江戸の僧侶の没落を描いたばかりだが今度は軽犯罪行為に及ぶ坊主が出てきた。妖怪でも何でもない、本当にこんな人が居ただけなのではないか。もともと垣根の隙間から気になる女性を見るという行為は「垣間見(かいまみ)」と言って平安時代に…

#039 じゅうじゅう坊

じゅうじゅう坊 漢字としては「獣獣坊」だろうか。江戸時代には、殺生や肉食の禁を平然と破る僧侶の話が、あるときは滑稽にある時は禍々しく語られるが、実際かなりそういった禁忌は特に市中では緩くなっていたのが現状だろう。釈迦は亡くなる直前に「滅法」…

#037 どうもこうも

どうもこうも こんな話がある。「どうも」という医者と「こうも」という医者がいた。二人は共に優秀な外科医だったが、どちらが一番の外科医かということで話が合わず腕比べをすることになった。まず「どうも」が「こうも」の首を切り落とし(!)、それをあ…

#035 いそがし

いそがし 服もはだけ苦しそうに舌を出しながらなお走っている姿で描かれている妖怪。憑りつかれるとどうなるのかを…説明する必要はないだろう。 江戸では、忙しさ自慢は野暮だと言われたらしい。「忙しいという字は、心(=りつしんべん)を亡くすと書きます…