古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2020-04-25から1日間の記事一覧

#048 白うかり

白うかり 「うかる」とは古語で、①自然に浮く、浮かぶ。②あてもなくさまよう、ふらふら出歩く。という意味。つまり白くてふわふわ漂う怪異と言う事。欧米でいうところの「シーツお化け」。古今東西を問わないお化けの基本中の基本の姿と言える。 廃屋や夜中…

#046 青女房 あおにょうぼう

青女房 青女房という言葉は本来なら若くて官位の低い女官を指す言葉。鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』の説明によれば「荒れ果てた古い御所に棲む女官の姿をした妖怪で、ぼうぼう眉(剃っていない眉)で鉄漿をべったりと付けて、人が立ち入ると様子を見に来る」…

#045 黄粉坊 きなこぼう

黄粉坊 きなこがどうして妖怪になるのだろう。 黄粉は、「黄の粉=きのこ」の「の」が音便化して「な」に転じた名称であるらしい。同様の例は「神の月⇒かんなづき」「水の月⇒みなつき」にも見られる。 奈良時代ごろに作られるようになり、室町時代には「黄粉…

#044 火吹き

火ふき 江戸は現在において、「火災都市」と言われるくらい火事が多かった都市だ(総数1798回)。大火事だけでも49回、同じ町を何度も火事が襲うということは世界的にも珍しいのだとか。当然、火をつける妖怪が創造されてもおかしくなはい。また「火事と喧嘩…

#043 撫坐頭 なでざとう

撫坐頭 坐等(=座頭)とは、江戸時代の盲人の階級の一つ。もっと広義に、按摩、鍼師、琵琶法師などを呼ぶことも多い。元々は琵琶法師の称号「検校」「別当」「座頭」の一つであった。鎌倉時代から琵琶法師たちは「当道座」という共同体を形成し、活動をした…

#042 後眼 うしろめ

後眼 後頭部に目を持った僧形の後ろ姿に、鈎爪が一本だけついた腕のようなものが描かれた妖怪。正面に目や顔があるのかないのかは元の絵では不明である。 妖怪のイメージは湧きやすい。背後というのは人間の絶対的な死角であり、相手の背後に位置をとる限り…