そのビジュアルに人気があったのか、様々な妖怪絵巻に描かれている妖怪。鯰が化けそこなった仏のような姿で描かれる。色は黒く、目と舌を飛び出させ、狸ではなく魚のしっぽが描かれているものがある。「黒坊」と紹介する文献もあったような。
個人的な解釈だが、私は塗り仏を、「水死体を妖怪に見立てたもの」だと捉えている。根拠は、①目と舌が飛びでている。(水死体にガスがたまり、浮かんでくる頃にはそういう感じになる)目出度くなるとは、亡くなることの隠語でもある。②水死体、または腐乱死体のことを「黒仏」という。③魚のしっぽがついている。狸やキツネが化けたものであることを否定している。④そもそも塗仏というのは「濡れ仏=ぬれぼとけ」の駄洒落なのではないか。
ちなみに、ネットで「水死体」の現物を見てしまったことがあったが、見た瞬間から「ぬりぼとけ」だった。ひょっとしたら、単純に見たまんまを描いた妖怪かもしれない。
図:佐脇嵩之『百怪図鑑』より