古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2020-05-17から1日間の記事一覧

#090 天狗星 てんぐせい

天狗星 天狗星とは、落下の際音響を発し明るく輝く巨大な流星のこと。鎌倉中期(ちょうど元寇の頃)に著された書物「塵袋=ちりぶくろ」にその記述がある。ちょうどその時期に日蓮宗の祖、日蓮が龍ノ口で幕府に処刑されかかったとき流れ星が現れたという記録…

#089 邪魔 じゃま

邪魔 おそらくだが、鳥山石燕が『画図百鬼夜行』に描いた「天逆毎=アマノザコ」、または「天邪鬼=アマノジャク」のことを指しているのだろうかと思う。天逆毎は天狗や天邪鬼のルーツとされる妖怪で、和漢三才図絵などにその記述がある。体は人間、首から上…

#054 赤舌 あかした

赤舌 大きく口を開き、髪を振り乱し、二つに割れた舌を突き出した姿に描かれる。両目は飛び出している。『百怪図鑑』で「あか口」と紹介される妖怪と同一とされているが、よく見ると名前が違い、さらにビジュアルも百怪図鑑と全く違うので(この絵巻物全体と…

#088 瓢箪子 ひょうたんこ

瓢箪子 何ともユーモラスな味わいの妖怪。瓢箪に見えなくもない胴体からカエルのように手足が生えている。一つだけの丸い目と、舌をちょろっと出した口元がとぼけた感じを出している。この絵巻の隣には「のづち」が描かれているので、カエルの妖怪かもしれな…

#087 王魔 おうま

王魔 「魔王」ではなく「王魔」である。国語の修飾語のルールで考えると、「魔王」なら「魔、つまり魔物や魔人やそういったものを支配する王=役職」であるのに対し、「王魔」は「王となるべき力や格を身にまとった魔物=真の力量」と言う事であろうか。どち…

#086 姥が火

姥が火 老婆の顔が見える怪火。『百妖図』には何故か違うデザインで二体紹介されている。経緯はわからないが、関西に伝説が二つあるからだろうか。二つのうち、より見たことがない方の(変わった)デザインを採用した。こちらは巻物の最初のあたりに描かれて…

#085 骸骨

骸骨 ここからは幕末の奇書(とはいえ妖怪図鑑は大体が奇書だが)で、一時はパリにあったが現在は(私の知識が古くなければ)神保町の古本屋が所蔵しているはずの「百妖図」から何体かを紹介していく。いくつかの出版物に掲載されているのだが、画像が小さく…