古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

#089 邪魔 じゃま

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邪魔

 おそらくだが、鳥山石燕が『画図百鬼夜行』に描いた「天逆毎=アマノザコ」、または「天邪鬼=アマノジャク」のことを指しているのだろうかと思う。天逆毎は天狗や天邪鬼のルーツとされる妖怪で、和漢三才図絵などにその記述がある。体は人間、首から上は獣、鼻が高く耳が長く牙が長いという。意のままにならないと荒れ狂い、右を左と言い、上を下と言う。などと言う性格は、天邪鬼そのものである。

 天邪鬼の方は、寺の山門の仁王像に踏みつけられているものもそう呼ばれているように、神話や仏教の世界で神様に退治される格下の悪役を務めている。神様としての性質も強く、神通力を使って何にでも変身したり巨大になったりしながら人を喰ってしまうなど様々な悪事を行っている。

 天邪鬼の物語で有名なものに、瓜子姫を食べてしまう話があったので瓜を描き加えた。NHKの人形劇で見た記憶がある。この物語はハッピーエンドではなかったので、納得がいかなかった思い出がかすかに残っている。

 図:大屋書房『百妖図』より