何ともユーモラスな味わいの妖怪。瓢箪に見えなくもない胴体からカエルのように手足が生えている。一つだけの丸い目と、舌をちょろっと出した口元がとぼけた感じを出している。この絵巻の隣には「のづち」が描かれているので、カエルの妖怪かもしれない。
足が3本のカエルは、中国ではお金を集める縁起物のようで、土産物屋で置物を見たりする。一方瓢箪も、金運を上げる縁起物として扱われている。農民出の一足軽が、やがて天下人となり大阪に城を立てるまでになりあがったのも瓢箪をあしらった旗印が良かったのだと思われる。
お金回りが不自然なほど良くなる妖怪であろうと思う。ただしこの瓢箪には足が生えているから、お金を連れて飛ぶようにいなくなってしまう。その後の面倒を末永く見てくれる妖怪ではないようだ。
画面に配置した金雲は「きんうん=金運」の駄洒落。歴史上の人物を想像で描くのは今回のコンセプトではないため、だれでも知っている有名彫刻作品を引用した。特徴のある鎧兜が、だれを指しているのかを暗示する手はずになっている。
図:大屋書房『百妖図』より