古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

107 #大百足

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見た目がアレなもので、各地に伝承が残っている虫。
実際のものでも最大のものになると、40㎝のものも居るが、これが妖怪となると、一気に3mや10mにサイズアップする。
中でも最大を誇るものは、やはり俵藤太が退治したとされる大百足。幅15キロの比良山地を七巻き半するサイズだと言うから、想像を絶する。やはり絵にするならこのサイズ感が魅力である。大阪に出たと言う幅約1尺、長さ約1丈余り(30㎝×3m)の大百足など、一たまりもない(しかし出てきてほしくないのは絶対に後者だが)。ちなみに俵藤太の方の巨大ムカデは、唾の付いた矢が頭に刺さっただけで退治されてしまった。唾が強いのか、ムカデが弱いのか。ミドリムシに噛まれて相撲取りが倒れたようなものだ。
百足信仰と言うべきものがあり、たとえばムカデには毘沙門天の使いと言う一面もある。ある地域ではカイコガの天敵であるネズミが嫌うので、毘沙門天に「ムカデ絵馬」を奉納する習慣がある。「おあし=お銭」の数が多いので、金運を呼ぶ縁起物ともされてきた。形が山に埋まっている鉱脈を連想させる事から、鉱山で信仰されることもあった。また前進しかしないから(後退が出来ない)戦国武将たちの鎧などのデザインにもなったという。
妖怪と言うか、神様に近い。
インターネット社会。目に見えない世界で大量のお金が現れたり、すごい早さで走り去ったり、現代の大百足は、電脳世界に棲みかを変えて、超高速で走り回っているのだろうか。一度進み始めるともう後戻りできない点も文明と似ている。