古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2020-04-18から1日間の記事一覧

#019 ぬけ首

ぬけ首 まず初めに名前とのギャップに驚く。「首、抜けてないよ!」と思う。これはぬけ首ではなくてろくろ首ではないかと思う。ところが複数の妖怪絵巻で「ぬけ首」と表現されている。一方鳥山石燕の絵では「ろくろ首」が採用されている。 伸びている首の描…

#018 犬神

狗神 主に瀬戸内~九州地方でいうところの犬神と、妖怪絵巻などに描かれる犬神が、同じ妖怪とは思えない。四国九州のほうは「イヌガミ」とは名ばかりで、その姿も生態も殆ど犬を連想させない。強いて言えば「家に飼われている神様」といったところか。 妖怪…

#017 山姥

山姥 山奥に棲むという老婆の怪。野生の熊も顔負けの怪力を持っていたり、変身するなど妖術を使ったりと太刀打ちできる相手ではないので、正面から戦って人間が勝った話はないと思う。(お坊さんがうまく騙して小さくさせ、餅に引っ付けて食べてしまった話が…

#016 夢の精霊

夢の精霊 資料によって、「夢の精霊」「骨の精霊」と意見が分かれるが、幾つかの説話集から読み取れる情報から推察して、「夢の精霊」と解釈する。 有名な説話。滋賀県は琵琶湖でのお話。ある僧が、加茂神社の供物用に捕らえられた大きな鯉を不憫に思い、大…

#015 苧うに 

苧うに 苧うに、の「苧」は苧麻(からむし)のことと思う。イラクサ科の多年草で栽培もされ、茎の繊維を織物などにも用いる。苧は「を」の字を当てる。日本書紀からその存在が確認でき、日本人とは付き合いの長い植物である。江戸時代にはこの苧麻の専売権を…

#014 塗り仏

塗仏 そのビジュアルに人気があったのか、様々な妖怪絵巻に描かれている妖怪。鯰が化けそこなった仏のような姿で描かれる。色は黒く、目と舌を飛び出させ、狸ではなく魚のしっぽが描かれているものがある。「黒坊」と紹介する文献もあったような。 個人的な…

#013 山彦

山彦 山の頂上で、向こうの山に向かって「やっほー」などと言うと、向こうの山のから「やっほー」と返ってくるアレ(今でもそういうことをして遊ぶのかな)。鳥山石燕は自分の作品の中では「幽谷響」という字を当てている。むこうの山の頂上にいるこの妖怪が…