古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

#009 姑獲鳥 うぶめ

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姑獲鳥


 お産で死んだ女性の霊が妖怪になった、という点ではどの言い伝えも一致している。基本的にはそれが姑獲鳥である。そこからは様々な伝説があるようで、亡くなった子供を抱いているもの、鳴き声を出して歩き回っているもの、男性相手に子供を預け、その子供はどんどん重くなるのだが、我慢をすると大力を授かった(女性はお産の時にとても体力を使うから)、など。

 ちなみに漢字は、最初は「産女」だったが、江戸ごろに中国の妖怪と日本の妖怪を突き合わせ、同じような妖怪を「同一のもの」としたことがあるらしく、(余り詳しくは調べてないので…)その時中国の子供をさらう妖怪「姑獲鳥」という字を共有するようになった、と言う事は子供をさらう性質もあったのだろうか。中国の姑獲鳥は鳥の妖怪のようなので、背後に羽根を描いた。

 あと、絵の構図が、キリスト教で、聖母マリアが死せるキリストを抱きかかえる作品のテーマ、「ピエタ」と似ているなあと思って、完全に無関係なのにイメージを重ねて描きました。その筋の皆様、大変申し訳ございません。他意はありません。

図:佐脇嵩之『百怪図鑑』より