古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2020-04-12から1日間の記事一覧

#009 姑獲鳥 うぶめ

姑獲鳥 お産で死んだ女性の霊が妖怪になった、という点ではどの言い伝えも一致している。基本的にはそれが姑獲鳥である。そこからは様々な伝説があるようで、亡くなった子供を抱いているもの、鳴き声を出して歩き回っているもの、男性相手に子供を預け、その…

#008 火車

火車 生前悪いことをした人の葬式の最中に出現し、遺体を棺桶から奪って地獄へ直行するという鬼。彼が引っ張っているのが燃え盛る「火車」であり、鬼そのものは「タクシーの運転手」のようなものである。名前がついている話を聞いたことはない。 絵によって…

#007 ぬらりひょん

ぬらりひょん 「ぬうりひょん」が正しい表記だという話が一瞬上がって、幾つかの書籍ではそんな表記もされたものの、でも最近はやっぱり、「ぬらりひょん」でいいのだという。 妖怪の総大将だという最近ではだれでも知っている設定は、戦後誰かがそう言って…

#006 元興寺 がごぜ

元興寺 飛鳥時代、奈良の地にある元興寺に夜な夜な現れ、鐘楼に潜み、鐘をつきに来る童子を殺し続けた鬼。「雷神が農夫に命を助けられ、そのお礼に授けたという大力の童子」がこの鬼を退治し、その際に頭の皮をはぎ取ってしまった。残った血痕を辿った先には…

#005 河童

河童 元祖水妖。弥生時代に稲と一緒に日本にわたってきた時には、その立場は「水神」であり、機嫌を損ねると稲の収穫量だけではなく、村の運命にまで影響を与える存在だった。 やがて仏教が日本を席巻すると、古来の信仰の対象は格下の存在と見做されるよう…

#004 濡れ女

濡れ女 様々な絵巻物にその姿を確認できるが、実は「濡れ女」としての伝説は少ない。島根県の民話に牛鬼と一緒になって出てくる話があるが、そこでは赤子を抱いて出てくるので、上半身または全身が普通の女性であり、首から下が蛇であるイメージではないよう…

#003 ひょうすべ

ひょうすべ 佐賀県、宮崎県、熊本県などで山を中心に活動している河童の類。沢などを群れで渡るときに、ひょうひょうという鳴き声が聞こえてくる。描かれた姿は河童というより、頭部に毛が無いサルのように見える。 伝説の少ない妖怪の常として、後世のライ…

#002 しょうけら

しょうけら 鳥山石燕の「画図百鬼夜行」では、天井から家を覗く姿で描かれている。物語や伝説が残っている妖怪ではないが、庚申日に人の罪業を天に報告に行く体内の虫を鬼と見たものではないかという見方がある。ちなみに天帝(天界の帝)はこの虫の報告によ…

#001 見越入道

見越入道 見上げるほどに大きくなっていく、入道の姿をした妖怪。江戸時代には「妖怪の総大将」という役割を与えられ、イラスト、仮名本など当時の創作物に多く登場している。民間の伝承では狸が化けたもので、見上げすぎると喉笛をかまれるとか、大きくなっ…