古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

2020-04-19から1日間の記事一覧

#026 ふらり火

ふらり火 これもまた、ビジュアルと名前以外の情報も、伝承も説明もない妖怪。周りに様々な鳥を従えて飛ぶというのは、もちろん後付けの設定だ。 火の妖怪であることには疑問はない。火の妖怪はどれも似たり寄ったりで、見た目は火の玉である。そこで出現す…

#025 幽霊

幽霊 「…幽霊は妖怪じゃない!」という思いはあるが、佐脇嵩之の『百怪図鑑』には載っているので紹介する。気付く人は気づいていると思うが、この「怪説」は今のところ「百怪図鑑」の妖怪をそこに描かれている順に描いていっている。さらに他の有名な妖怪絵…

#024 目一つ坊

目一つ坊 どこで聞いた話だったか。たぶん最近の妖怪の研究本なのだが、比叡山の僧がその死後も弟子の修業を見守るために一つ目の鬼となって僧坊を周った。特に居眠りを戒めた、という情報をもとに描いた。右上に描いたのは天井からつるす「魚板(ぎょばん)…

#023 牛鬼

うし鬼 西日本を中心に伝説として伝わっている妖怪だがその物語を聞く限り、または各地に残されている牛鬼祭りの山車や民芸品を確認する限り妖怪絵巻に描かれた形状とはかなり異なる妖怪であるように思われる。 伝説での姿は「ウシオニ」と聞いたら誰でも自…

#022 赤口

赤口 見ての通り、大きな赤い口が特徴の妖怪。このビジュアルを知っている人は多いと思うが、にもかかわらず伝承のある妖怪ではない。昔妖怪図鑑で読んだ「長い舌で水門を操作し村の水争いをたしなめた」という話は少なくとも昭和になってから結び付けられた…

#021 うわん

うわん 絵巻物に姿が残るだけで伝承はない妖怪。江戸時代に描かれた妖怪にはそのような性質のものがとても多い。戦後の妖怪本には「うわん、と大声で脅かす妖怪」「墓場に出る妖怪」のみならず「うわん、と言い返さないと棺桶の中に引き込まれる」など、なん…

#020 山わらわ

山童 やまわろ、のこと。山に出現する妖怪で、伝説は多くあり、河童と一部を共有している。夏は川にかいって河童となり、冬は山に入って山童になるというような、両者がほぼ同一のものとされている伝承もある。山で仕事をしている人のもとに現れ、重たい木を…