古今妖怪図鑑

妖怪しか描かず、妖怪を哲学する、妖怪画家のブログ。妖怪しか描きませんし、妖怪の事しか書きません。

141 #栄螺鬼 さざえおに

日本は海洋国であるにもかかわらず、海の魚類に妖怪は少ない。淡水魚なら、巨大化してヌシになるケースはある。でも海水魚では、例えば「化けイワシ」「化けハマチ」等は聞かない。かと思えば、「バケダラ」「ユウレイボヤ」等は実在の種で、まるで妖怪のようななりであったりする。

ところが、無脊椎動物、特に貝類はわりと化ける。「蜃気楼」は蛤だし、ヌシとなった「化けアワビ」や「出世法螺」等の伝説もある。「滅法貝」なんていう駄洒落妖怪も江戸期に作られた。

さざえ鬼も、そんな妖怪の仲間である。年を経た栄螺が岡に上がり、人をたぶらかす。どこの伝説だったかは覚えていないが、美人に化け、海賊たちを誘惑し、ことの最中に局部を切り落とし、持ち去ってしまったと言う話もあった。驚くのは、その後、海賊たちはさざえ鬼の元に謝りに行き、返してもらえたそうである。

取れたモノが、ひっついたのだろうか。

貝=女性自身、と言うメタファーは、洋の東西を問わず確認できる。一体いつ頃から、誰が最初に言い出したのか。

実際のサザエの色合いを意識しながら描いた。石燕の絵をベースにしたが、かなり変わってしまっている。サザエに寄せたデザインにした。

服の柄は、フジツボゲゲゲの鬼太郎のさざえ鬼の体表の模様をデザインにした。