日本は海洋国であるにもかかわらず、海の魚類に妖怪は少ない。淡水魚なら、巨大化してヌシになるケースはある。でも海水魚では、例えば「化けイワシ」「化けハマチ」等は聞かない。かと思えば、「バケダラ」「ユウレイボヤ」等は実在の種で、まるで妖怪のようななりであったりする。
ところが、無脊椎動物、特に貝類はわりと化ける。「蜃気楼」は蛤だし、ヌシとなった「化けアワビ」や「出世法螺」等の伝説もある。「滅法貝」なんていう駄洒落妖怪も江戸期に作られた。
さざえ鬼も、そんな妖怪の仲間である。年を経た栄螺が岡に上がり、人をたぶらかす。どこの伝説だったかは覚えていないが、美人に化け、海賊たちを誘惑し、ことの最中に局部を切り落とし、持ち去ってしまったと言う話もあった。驚くのは、その後、海賊たちはさざえ鬼の元に謝りに行き、返してもらえたそうである。
取れたモノが、ひっついたのだろうか。
貝=女性自身、と言うメタファーは、洋の東西を問わず確認できる。一体いつ頃から、誰が最初に言い出したのか。
実際のサザエの色合いを意識しながら描いた。石燕の絵をベースにしたが、かなり変わってしまっている。サザエに寄せたデザインにした。
服の柄は、フジツボ。ゲゲゲの鬼太郎のさざえ鬼の体表の模様をデザインにした。